Gradle タスクが Android Studio の Gradle ツールウィンドウに表示されない問題
問題概要
Android Studio 4.2 以降のバージョンで、Gradle ツールウィンドウにタスクが表示されなくなるという問題が発生しています。以前のバージョン(4.1.3など)では表示されていたタスクリストが、アップデート後には依存関係のみ表示される状態になります。
この問題はパフォーマンス最適化のための意図的な仕様変更ですが、Gradle タスクにアクセスしづらくなるという不便さがあります。
原因
Google の公式 Issue Tracker によると、この挙動は意図的な仕様変更です。Android プロジェクトでは Gradle タスクリストが大きく、読み込みに時間がかかるため、パフォーマンス向上のためにデフォルトで無効化されました。
背景
大規模プロジェクトでは Gradle タスクのリスト構築に時間がかかるため、Android Studio 4.2 以降ではデフォルトでこの機能が無効化されています。
解決方法
方法1: 設定の変更(推奨)
Gradle タスクリストを再度有効にするには、以下の手順で設定を変更します。
1. File → Settings → Experimental を開く
2. 「Do not build Gradle task list during Gradle sync」のチェックを**外す**
3. Apply をクリック
4. File → Sync Project with Gradle Files でプロジェクトを再同期
1. File → Settings → Experimental を開く
2. 「Configure all Gradle tasks during Gradle Sync」を**チェックする**
3. Apply をクリック
4. File → Sync Project with Gradle Files でプロジェクトを再同期
注意
Android Studio のバージョンによって設定項目の表現が逆転しています。Electric Eel 以前では「チェックを外す」、Giraffe 以降では「チェックする」という操作になります。
変更後、プロジェクトの再同期を行ってもタスクが表示されない場合は、Android Studio の再起動を試してください。
方法2: ターミナルを使用する
設定を変更したくない場合や、一時的に特定のタスクを実行したい場合は、ターミナルを使用する方法があります。
すべての利用可能なタスクを表示するには:
./gradlew tasks --all
特定のタスクを実行するには:
./gradlew [タスク名]
例(モジュール名が net-security の場合):
./gradlew net-security:uploadArchives
方法3: 実行設定の作成
よく使用するタスクには、実行設定を作成して簡単にアクセスできるようにできます。
- 上部の実行設定ドロップダウン → 「Edit Configurations」を選択
- 「+」ボタン → 「Gradle」を選択
- タスク名と必要な設定を入力
- OK をクリックして保存
これで実行設定ドロップダウンから直接タスクを実行できるようになります。
パフォーマンスへの影響
注意
すべての Gradle タスクを同期時に構築するように設定すると、特に大規模プロジェクトでは Gradle 同期のパフォーマンスに影響が出る可能性があります。必要な場合のみこの設定を有効にしてください。
まとめ
Android Studio 4.2 以降で Gradle タスクが表示されない問題は、パフォーマンス最適化のための意図的な変更です。設定を調整することで従来通りタスクを表示できるようになりますが、プロジェクト規模に応じて適切な方法を選択することが重要です。
- 日常的に Gradle タスクを使用する → 方法1 で設定を変更
- 時々しか使用しない → 方法2 でターミナルを使用
- 特定のタスクを頻繁に使用する → 方法3 で実行設定を作成
Android Studio のバージョンアップ時には、このような設定変更が行われる可能性があるため、リリースノートを確認する習慣をつけることをおすすめします。