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React 18 ハイドレーションエラー:サーバーとクライアントのUI不一致を解決する

React 18のサーバーサイドレンダリング(SSR)を使用する際、次のエラーに遭遇することがあります:

Hydration failed because the initial UI does not match what was rendered on the server.

このエラーは、サーバーでレンダリングされたHTMLとクライアント側のReactコンポーネントツリーが一致しない場合に発生します。本記事では、この問題の原因と解決策を詳しく解説します。

問題の根本原因

ハイドレーションエラーは、サーバーとクライアント間で以下の不一致が生じたときに発生します:

  • HTML構造の違い
  • レンダリング内容の不一致
  • ブラウザ環境のみで利用可能なAPIの使用
  • 外部要因によるDOMの変更

主な原因と解決策

1. HTMLタグの不適切なネスト

もっとも一般的な原因は、HTML仕様に違反するタグのネストです。

不正なネストの例

html
<!-- 不正: pタグ内のdivタグ -->
<p>
  <div>コンテンツ</div>
</p>

<!-- 不正: 同じタグのネスト -->
<a href="#">
  <a href="#">リンク</a>
</a>

<!-- 不正: インタラクティブ要素のネスト -->
<button>
  <a href="#">ボタン内のリンク</a>
</button>

正しいネストの例

html
<!-- 正しい: divタグ内のpタグ -->
<div>
  <p>コンテンツ</p>
</div>

<!-- 正しい: spanタグ内のaタグ -->
<a href="#">
  <span>リンクテキスト</span>
</a>

2. ブラウザ拡張機能の影響

Grammarly、LastPass、Dark Readerなどのブラウザ拡張機能がDOMを変更し、ハイドレーションエラーを引き起こすことがあります。

拡張機能の影響を確認する方法
  1. すべてのブラウザ拡張機能を無効化
  2. プライベート/シークレットウィンドウでテスト
  3. 問題が解決する場合は、拡張機能を一つずつ有効化して原因を特定

3. クライアントサイドのみのコードの取り扱い

windowlocalStorageなど、ブラウザ環境でのみ利用可能なAPIをサーバーサイドレンダリングで使用すると不一致が発生します。

解決策:useEffectでのクライアントサイド判定

jsx
import { useState, useEffect } from 'react'

export default function ClientComponent() {
  const [isClient, setIsClient] = useState(false)

  useEffect(() => {
    setIsClient(true)
  }, [])

  return (
    <div>
      {isClient ? <div>クライアントのみのコンテンツ</div> : null}
    </div>
  )
}

解決策:動的インポートによるSSR無効化

jsx
import dynamic from 'next/dynamic'

const NoSSRComponent = dynamic(
  () => import('../components/ClientOnlyComponent'),
  { ssr: false }
)

export default function Page() {
  return (
    <div>
      <NoSSRComponent />
    </div>
  )
}

4. サードパーティライブラリの問題

一部のライブラリはサーバーサイドレンダリングに対応していないか、適切に設定されていない場合があります。

jsx
// React Playerなどのクライアントサイドのみのライブラリ
const ReactPlayer = dynamic(() => import('react-player'), { ssr: false })

5. CSS-in-JSライブラリの設定ミス

スタイリングライブラリがサーバーとクライアントで異なるクラス名を生成する場合、不一致が発生します。

デバッグ方法

開発モードでの詳細エラー確認

bash
npm run dev

開発モードでは、より詳細なエラーメッセージがコンソールに表示され、問題の特定が容易になります。

DOM構造の検証

ブラウザの開発者ツールを使用して、サーバーでレンダリングされたHTMLとクライアント側のDOMを比較します。

応用例:ハイドレーション警告の抑制

どうしても回避できない微小な不一致がある場合(例:タイムスタンプ)、警告を抑制できます。

jsx
<time datetime="2023-12-08" suppressHydrationWarning />

まとめ

Reactのハイドレーションエラーを解決するには、以下の点を確認してください:

  1. HTML構造が仕様に準拠しているか
  2. ブラウザ拡張機能が干渉していないか
  3. クライアントサイドのみのコードを適切に分離しているか
  4. サードパーティライブラリがSSR対応しているか
  5. 開発モードで詳細なエラー情報を確認する

これらの対策を講じることで、サーバーサイドレンダリングとクライアントサイドのハイドレーションが正常に動作するようになります。