Xcodeシミュレータの「Unable to boot the Simulator」エラー解決方法
問題の概要
Flutter開発中にiOSシミュレータを起動しようとすると、「Unable to boot the simulator」(シミュレータを起動できません)というエラーが発生する問題です。この問題は、macOSの再起動後やXcodeのアップデート後に突然発生することがあります。
主な原因
このエラーの主な原因は以下の通りです:
- Xcodeキャッシュの破損: 一時ファイルやキャッシュデータの不整合
- dyld共有キャッシュの問題: システムスキャン中のタイムアウト
- XProtectアップデート: 週次セキュリティアップデートによる影響
- パフォーマンス問題: I/O競合による起動タイムアウト
解決方法
方法1: Xcodeキャッシュの削除(最も効果的)
macOS 13 (Ventura) 以降の場合
- 画面上部のAppleメニューをクリック
- 「システム設定」→「一般」→「ストレージ」を選択
- 「開発者」セクションをクリック
- 「Xcodeキャッシュ」を削除
macOS 12 (Monterey) 以前の場合
- 「このMacについて」をクリック
- 「ストレージ」タブ→「管理」を選択
- 「開発者」セクションを開く
- 全てのコンテンツを削除
方法2: ターミナルを使用したキャッシュ削除
ターミナルを使用して手動でキャッシュを削除する方法:
bash
# シミュレータキャッシュ削除
rm -R ~/Library/Developer/CoreSimulator/Caches
# デバイスサポートファイル削除(オプション)
rm -R ~/Library/Developer/Xcode/iOS\ DeviceSupport/
# 派生データ削除(オプション)
rm -R ~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/
# アクセス拒否される場合はsudoを使用
sudo rm -R ~/Library/Developer/CoreSimulator/Caches
方法3: プロセス終了と再起動
- アクティビティモニタを開く
- 「xcdevice」プロセスを検索して終了
- 実行中のシミュレータを終了:bash
sudo killall Simulator
- 開発サーバーを再起動
- VS CodeやAndroid StudioなどのIDEを再起動
方法4: 別のシミュレータの起動
- シミュレータアプリを直接起動
- 異なるデバイス(例: iPhone 12 miniやiPad Pro)を選択
- 起動後に目的のシミュレータに切り替え
根本的な解決策
重要
一時的な解決策ではなく、根本的な解決を目指す場合は以下の対策を検討してください:
最新のOSとXcodeにアップデート
- macOS 14.4以降とXcode 15.3 Beta 2以降で問題は大幅に改善されています
定期的なメンテナンス
- サードパーティ製ツール「DevCleaner for Xcode」を使用した定期的なキャッシュクリーンアップ
問題が解決しない場合
- Appleに詳細なレポートを提出:
bashxcrun simctl diagnose sudo sysdiagnose
予防策
- 定期的にXcodeキャッシュをクリーンアップする
- macOSとXcodeを最新バージョンに保つ
- シミュレータの問題が発生したら、まず別のデバイスタイプを試す
- 大規模なプロジェクトでは、ビルド設定を「Debug」モードに戻すことを確認する
まとめ
「Unable to boot the simulator」エラーは主にキャッシュ関連の問題が原因です。ほとんどの場合、Xcodeキャッシュを削除することで解決できます。問題が繰り返し発生する場合は、OSやXcodeのアップデートを検討し、必要に応じてAppleにバグレポートを提出してください。