IPA作成時のエラー「PLA Update available」の解決方法

問題説明

iOSアプリをApp Storeに提出するためにIPAファイルを作成する際、以下のエラーが発生する場合があります：

error: exportArchive: Unable to process request - PLA Update available
error: exportArchive: No signing certificate "iOS Distribution" found

この問題は通常、以下の状況で発生します：

1. Apple Developer Programのライセンス契約（Program License Agreement）が更新された
2. アカウントの所有者（Account Holder）が新しい契約に同意していない
3. 未承認の状態ではコードサイニング証明書（iOS Distribution）が利用不可になる
4. Xcodeの再起動や証明書の再インストールでは解決しない

根本的な解決手順

macOS環境での解決策（最新のXcode推奨）

重要

アカウントの所有者（Account Holder）のみが操作可能です。チームメンバーや管理者では解決できません。

1. Apple Developerアカウントにログイン
   Apple Developerコンソールにアクセス

2. 契約更新画面を開く アカウントホーム →「契約、規約、および同意証」セクション

3. 保留中の契約を確認 「レビューが必要」または「更新が必要」ステータスの契約があるかチェック

   

4. 契約内容に同意

   • 「レビュー」ボタンをクリック
   • 契約全文を確認
   • 最後までスクロールし「同意する」を選択
   • 電子署名の手続きを完了

5. Xcodeの完全再起動

   # ターミナルで強制終了
   killall Xcode

6. プロジェクトのクリーン Xcodeで ⇧ + ⌘ + K を押してプロジェクトをクリーンビルド

よくある質問（FAQ）

契約同意後もエラーが消えない場合

1. Keychain Accessで「Apple Worldwide Developer Relations Certification Authority」証明書を削除
2. Apple証明書ダウンロードサイトから最新証明書をインストール
3. Xcode → Preferences → Accounts → Apple IDから再ログイン

チームのアカウント所有者が不明な場合

1. Apple Developer Membershipサイトにログイン
2. 「Members」タブから「Account Holder」権限を持つメンバーを確認
3. 該当者に契約更新を依頼

技術的背景と予防策

エラーの発生メカニズム

1. Appleが開発者契約（PLA）を更新
2. システムが未承認アカウントの署名機能を停止
3. iOS Distribution証明書が一時的に無効化される
4. 開発者コンソールとXcodeとの同期が切断状態に

定期チェックスクリプト（Python）

毎日契約更新を自動チェックするスクリプト：

import requests
from datetime import datetime

def check_pla_update():
    # Apple Developer APIエンドポイント（シミュレーション）
    response = requests.get('https://api.example.com/apple/agreements')
    agreements = response.json()
    
    # 未承認契約のチェック
    pending = [a for a in agreements if a['status'] == 'Pending']
    
    if pending:
        print(f"[{datetime.now()}] 更新が必要な契約が{pending}件あります")
        # Slack通知や自動メール送信を追加可能
    else:
        print(f"[{datetime.now()}] 問題なし")

if __name__ == "__main__":
    check_pla_update()

結論とベストプラクティス

1. 定期的な契約確認
   Appleリリースサイクル（WWDC後など）に注意

2. 複数メンバーでの対応
   Account Holderが不在時のために代理承認者を設定：

   アカウント設定 → 契約の代理承認を有効化

3. 自動通知システムの活用
   Apple Developersコンソールの通知設定で「契約更新」を有効化

この問題はApple IDの権限レイヤーで発生するため、エラーメッセージ通りに証明書を再発行しても解決しません。契約更新問題はAccount Holderの承認後、最大24時間かかるケースがありますが、通常は即時反映されます。