Kotlin JVMターゲット21エラーの解決法（Android Studio Ladybug）

問題説明

Android Studioを最新版（Ladybug / 2024.2.2以降）へアップデート後、プロジェクトのコンパイル時に以下のエラーが発生します：

Unknown Kotlin JVM target: 21

この問題の特徴：

• kaptまたはksp使用時に頻発
• 設定でjvmTarget = "17"を指定済みでも発生
• KotlinオプションとJavaバージョン設定は一貫している（例：VERSION_17）
• Android Studioアップデート前は正常に動作していた

根本原因： Android Studioのアップデートにより:

1. デフォルトのGradle JDKがJVM 21に変更される
2. Kotlinコンパイラが新しいターゲットを認識できない
3. プロジェクト設定と実際のビルド環境に不一致が発生

効果的な解決策

方法1: Gradle JDK設定の変更（推奨）

最も確実な解決法は、Gradleが使用するJDKを明示的に指定することです：

1. Android Studioで File > Settings を開く
2. Build, Execution, Deployment > Build Tools > Gradle を選択
3. Gradle JDK をjbr-17（JetBrains Runtime 17）に変更

設定例:
Gradle JDK: JetBrains Runtime version 17.0.x

4. Apply をクリックし設定を保存

重要

プロジェクト固有の設定ではなく、IDE全体の設定を変更する必要があります。この変更は全てのプロジェクトに適用されます。

方法2: build.gradleの設定強化

モジュールレベルのbuild.gradle（Kotlin DSL: build.gradle.kts）に以下を追記：

android {
    compileOptions {
        sourceCompatibility = JavaVersion.VERSION_17
        targetCompatibility = JavaVersion.VERSION_17
    }
    
    kotlinOptions {
        jvmTarget = "17"
    }
    
    // この設定が解決の鍵！
    kotlin {
        jvmToolchain(17)
    }
}

変更ポイント:

• jvmToolchain(17)の追加でJVMバージョンを明示
• Kotlinコンパイラに確実にターゲットを伝達
• compileOptionsとkotlinOptionsのバージョン一致必須（全て17）

方法3: Kotlinプラグインバージョンの更新

プロジェクトレベルのbuild.gradleでKotlinプラグインを更新：

buildscript {
    dependencies {
        classpath "org.jetbrains.kotlin:kotlin-gradle-plugin:2.0.21" // 適切なバージョン
    }
}

対応バージョン目安:

Android Studioバージョン	推奨Kotlinバージョン
Ladybug (2024.2.2)	2.0.0 以上
Nharwal以降	2.0.21 以上

注意

以下の不一致があるとエラーが再発します：

• モジュール間でのKotlinバージョン差異
• Android Gradle Plugin(AGP)とKotlinの非互換性

  // 推奨組み合わせ例
  id "com.android.application" version "8.7.1"
  id "org.jetbrains.kotlin.android" version "2.0.20"

追加のトラブルシューティング

キャッシュクリア手順

設定変更後にエラーが解消しない場合：

1. プロジェクトの.gradleフォルダを削除
2. Android Studioで File > Invalidate Caches 選択
3. Rebuild Project を実行

Flutterプロジェクト向け設定

android/app/build.gradleに以下を追加：

kotlinOptions {
    jvmTarget = '17' // 1.8でないことを確認
}

根本原因と予防策

エラー発生メカニズム：

再発防止のポイント：

1. Android Studioアップデート後、必ずGradle JDK設定を確認
2. jvmToolchain()設定を習慣的に追加
3. プロジェクトのKotlinバージョンを定期的に更新
4. 各モジュールの設定整合性をチェック

まとめ

Unknown Kotlin JVM target: 21エラーは、Android Studioの自動設定変更とプロジェクト設定の不一致によって発生します。以下の3アクションで永続的な解決が可能です：

1. Gradle JDK を jbr-17 に設定変更
2. build.gradle に jvmToolchain(17) を明記
3. Kotlinプラグイン を 2.0.0 以降に更新

これらの対策を実施後、プロジェクトの再ビルドを行えばエラーは解消します。特に大規模プロジェクトでは、全モジュールの設定統一が重要です。