JavaScript replaceAll() メソッドのエラー解決と代替手法

問題点

JavaScriptで string.replaceAll() を使用した際に Uncaught TypeError: string.replaceAll is not a function というエラーが発生することがあります。このエラーは、使用しているブラウザやNode.jsのバージョンが replaceAll() メソッドをサポートしていない場合に発生します。

具体例

let string = ":insertx: :insertx: :inserty: :inserty: :insertz: :insertz:";
let newstring = string.replaceAll(":insertx:", 'hello!');
// サポートされていない環境では TypeError が発生

原因

replaceAll() メソッドは ES2021 (ES12) で導入された比較的新しい機能です。以下の環境ではサポートされていない可能性があります：

• Chrome 84以前
• Node.js 14以前
• 古いバージョンのブラウザ
• 一部のモバイルブラウザ

解決策

方法1: 正規表現を使用した代替方法

最も互換性の高い方法は、replace() メソッドにグローバルフラグ (g) 付きの正規表現を使用することです。

let string = ":insertx: :insertx: :inserty: :inserty: :insertz: :insertz:";
let newstring = string.replace(/:insertx:/g, 'hello!');
console.log(newstring);
// 出力: "hello! hello! :inserty: :inserty: :insertz: :insertz:"

方法2: 動的な文字列置換用の関数

正規表現の特殊文字を扱う場合は、エスケープ処理が必要です。

function escapeRegExp(string) {
  return string.replace(/[.*+?^${}()|[\]\\]/g, '\\$&');
}

function replaceAll(str, match, replacement) {
  return str.replace(new RegExp(escapeRegExp(match), 'g'), replacement);
}

// 使用例
console.log(replaceAll('a.b.c.d.e', '.', '__')); // "a__b__c__d__e"
console.log(replaceAll('price: $100', '$', '¥')); // "price: ¥100"

方法3: splitとjoinを組み合わせる方法

正規表現を使用したくない場合のシンプルな代替方法です。

let string = ":insertx: :insertx: :inserty: :inserty: :insertz: :insertz:";
let newstring = string.split(":insertx:").join('hello!');

方法4: ポリフィルの実装

プロトタイプにメソッドを追加して、ネイティブサポートされていない環境でも replaceAll() を使用できるようにします。

注意

プロトタイプの拡張は慎重に行ってください。既存のコードやライブラリとの競合を引き起こす可能性があります。

if (typeof String.prototype.replaceAll === "undefined") {
  String.prototype.replaceAll = function(match, replacement) {
    // 正規表現の特殊文字をエスケープ
    const escapedMatch = match.replace(/[.*+?^${}()|[\]\\]/g, '\\$&');
    return this.replace(new RegExp(escapedMatch, 'g'), replacement);
  };
}

// 使用例
"fafa".replaceAll("a", "o"); // "fofo"

方法5: 既存のポリフィルライブラリを使用

信頼性の高いポリフィルライブラリを使用する方法です。

npm install core-js

// ポリフィルをインポート
import 'core-js/features/string/replace-all';

// または条件付きインポート
if (!String.prototype.replaceAll) {
  import('core-js/features/string/replace-all');
}

環境別対応状況

ブラウザサポート

• Chrome: 85以上でサポート
• Firefox: 77以上でサポート
• Safari: 13.1以上でサポート
• Edge: 85以上でサポート

Node.jsサポート

• Node.js 15.0.0 以上でネイティブサポート
• それ以前のバージョンではポリフィルが必要

パフォーマンス比較

方法	読みやすさ	パフォーマンス	互換性
replace() + 正規表現	◯	◎	◎
split() + join()	◎	◯	◎
ポリフィル	◎	◯	◯
ネイティブ replaceAll()	◎	◎	△ (新しい環境のみ)

まとめ

replaceAll() メソッドが使用できない場合の解決策は複数あります：

1. 最新環境をターゲットにする場合は、ネイティブの replaceAll() を使用
2. 広範な互換性が必要な場合は、replace() と正規表現を組み合わせる
3. コードの一貫性を保ちたい場合は、ポリフィルを導入
4. 簡単な置換の場合は、split() と join() の組み合わせも有効

プロジェクトの対象環境と要件に応じて、最適な方法を選択してください。

参考情報

• MDN Web Docs: String.prototype.replaceAll()
• Can I use: replaceAll