pandasのDataFrameに行を追加する方法
pandasの.append()
メソッドは非推奨となり、多くの開発者が代替方法を探しています。この記事では、DataFrameに行を追加するための効果的な代替方法をいくつか紹介します。
問題:非推奨になった.append()
メソッド
pandas.DataFrame.append()
メソッドはバージョン1.4.0で非推奨となり、将来的に削除される予定です。このメソッドは以下のように簡潔で便利でした:
import pandas as pd
# 空のDataFrameを作成
df = pd.DataFrame(columns=['a', 'b'])
# 辞書を使用して行を追加(非推奨)
df = df.append({'a': 1, 'b': 2}, ignore_index=True)
注意
.append()
メソッドは非推奨となり、将来的に完全に削除される予定です。パフォーマンス上の問題とAPIの一貫性のため、使用を避けることを推奨します。
解決策:代替方法
1. pd.concat()
を使用する方法
最も一般的な代替方法はpd.concat()
を使用することです:
# 新しい行をDataFrameとして作成し、結合
df_new_row = pd.DataFrame({'a': [1], 'b': [2]})
df = pd.concat([df, df_new_row], ignore_index=True)
より簡潔に書くこともできます:
df = pd.concat([df, pd.DataFrame.from_records([{'a': 1, 'b': 2}])])
2. loc
インデクサを使用する方法
既存のDataFrameにインデックスがある場合は、loc
を使用して直接行を追加できます:
# インデックスが連番の場合
df.loc[len(df)] = [1, 2]
# または辞書を使用
df.loc[len(df)] = {'a': 1, 'b': 2}
# カラムを指定して追加
df.loc[len(df), ['a', 'b']] = 1, 2
3. カスタム関数を作成する方法
頻繁に行を追加する場合は、再利用可能な関数を作成すると便利です:
def append_dict_to_df(df, dict_to_append):
"""DataFrameに辞書を行として追加する"""
return pd.concat([df, pd.DataFrame.from_records([dict_to_append])], ignore_index=True)
# 使用例
df = pd.DataFrame(columns=['a', 'b'])
df = append_dict_to_df(df, {'a': 1, 'b': 2})
4. リストにデータを蓄積してからDataFrameを作成
パフォーマンスが重要な場合は、データをリストに蓄積してから一度にDataFrameを作成する方法が最適です:
# データをリストに蓄積
data_list = []
data_list.append({'a': 1, 'b': 2})
data_list.append({'a': 3, 'b': 4})
# 一度にDataFrameを作成
df = pd.DataFrame.from_records(data_list)
パフォーマンスに関する注意
pandasのDataFrameは、行を1つずつ追加するよりも、すべてのデータを一度に作成する方がパフォーマンスが大幅に向上します。大量のデータを扱う場合は、リストにデータを蓄積してからDataFrameを作成する方法を推奨します。
コード例の比較
# 複数の行を追加する場合
new_rows = [{'a': 1, 'b': 2}, {'a': 3, 'b': 4}]
df = pd.concat([df, pd.DataFrame.from_records(new_rows)], ignore_index=True)
# 単一行を追加する場合
df.loc[len(df)] = {'a': 1, 'b': 2}
# チェーン操作で使用
def append_row(df1, data_dict):
df2 = pd.DataFrame(data_dict, index=[0])
return pd.concat([df1, df2], ignore_index=True)
df = (
pd.DataFrame(columns=['a', 'b'])
.pipe(append_row, {'a': 1, 'b': 2})
.pipe(append_row, {'a': 3, 'b': 4})
)
ベストプラクティス
- パフォーマンス: 可能な限り、データをリストに蓄積してから一度にDataFrameを作成する
- 可読性: コードの意図が明確になる方法を選択する
- 保守性: 頻繁に行を追加する場合は、カスタム関数を作成する
- インデックス管理:
ignore_index=True
を適切に使用して、インデックスが正しく維持されるようにする
まとめ
pandasの.append()
メソッドの非推奨化は、より効率的で一貫性のあるDataFrame操作への移行を促すものです。pd.concat()
やloc
インデクサなどの代替方法を状況に応じて使い分けることで、クリーンで効率的なコードを維持できます。
参考情報
- 公式ドキュメント: pandas.concat()
- 移行ガイド: What's new in pandas 1.4.0