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ImportError: cannot import name 'Markup' from 'jinja2' の解決方法

問題の概要

Flaskアプリケーションをデプロイする際に、以下のエラーが発生することがあります:

ImportError: cannot import name 'Markup' from 'jinja2' (/usr/local/lib/python3.7/site-packages/jinja2/__init__.py)

このエラーは、Flaskアプリケーションが新しいバージョンのJinja2(3.0以上)を使用している場合に発生します。Jinja2 3.0.1以降、Markupクラスはmarkupsafeパッケージに移動されたため、古いバージョンのFlaskがこれをインポートしようとするとエラーが発生します。

原因分析

Jinja2バージョン3.0.1以降の変更により、Markupクラスはjinja2パッケージからmarkupsafeパッケージに移動されました。これは公式ドキュメントでも明記されている変更です。

互換性の変更

Jinja2 3.0.1で非推奨となったjinja2.Markupの呼び出しを修正。代わりにmarkupsafe.Markupを使用してください(#1438)

解決方法

方法1: Flaskのバージョンアップグレード(推奨)

最も確実な解決策は、Flaskを最新バージョンにアップグレードすることです。Flask 2.0以降は、この変更に対応しています。

bash
# 現在のFlaskとJinja2をアンインストール
pip uninstall Flask Jinja2

# 最新バージョンをインストール
pip install Flask Jinja2

インストール後、依存関係を確認:

bash
pip freeze

期待されるバージョン:

click==8.0.4
Flask==2.0.3
itsdangerous==2.1.2
Jinja2==3.1.1
MarkupSafe==2.1.1
Werkzeug==2.0.3

方法2: 明示的にmarkupsafeからMarkupをインポート

特定のファイルでMarkupを使用する必要がある場合、インポート文を変更します:

python
# 変更前
from jinja2 import Markup

# 変更後
from markupsafe import Markup

方法3: ライブラリの手動修正

サードパーティライブラリ(例:flask_jsglue)が問題を引き起こしている場合、該当ファイルを直接修正する必要があります。

python
# ファイル: .../site-packages/flask_jsglue.py
# 変更前
from jinja2 import Markup

# 変更後
from markupsafe import Markup

方法4: 互換性のあるバージョンの組み合わせを使用

特定のバージョンの組み合わせで動作させる場合:

txt
Flask==1.1.2
Flask-Cors==3.0.8
Flask-RESTful==0.3.8
Jinja2==2.11.2
MarkupSafe==1.1.1
itsdangerous==1.1.0
Werkzeug==1.0.1

トラブルシューティング

仮想環境の問題

仮想環境を使用している場合、ベースPythonインストールとの競合が発生することがあります。環境をクリーンに保つことを推奨します。

bash
# 仮想環境の再作成
python -m venv myenv
source myenv/bin/activate  # Linux/Mac
# または
myenv\Scripts\activate     # Windows

# 必要なパッケージを再インストール
pip install -r requirements.txt

依存関係の一括アップグレード

すべての依存関係を最新バージョンに更新:

bash
pip install --upgrade -r requirements.txt

予防策

  1. 定期的な依存関係の更新: 定期的にパッケージを更新し、互換性の問題を予防
  2. バージョンの固定: 本番環境では特定のバージョンを明示的に指定
  3. テストの実施: デプロイ前に開発環境で十分なテストを実施

まとめ

ImportError: cannot import name 'Markup' from 'jinja2'エラーは、Jinja2のバージョン変更に伴う互換性の問題です。最も安全な解決策はFlaskを最新バージョンにアップグレードすることですが、状況に応じて適切な解決方法を選択してください。

重要

本番環境での変更前に、必ず開発環境でテストを実施してください。また、バージョン変更による他の依存関係への影響も確認することを推奨します。