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ImportError: cannot import name 'escape' from 'jinja2'

このエラーは、Jinja2のバージョン3.1.0以降でescape関数が廃止されたことに起因する問題です。PythonのWebアプリケーション開発、特にFlaskやPlotly Dashを使用している際によく発生します。

問題の原因

Jinja2はテンプレートエンジンライブラリで、2022年3月24日にリリースされたバージョン3.1.0で大きな変更が行われました。この変更により、これまでjinja2モジュールから直接インポートできたescape関数がmarkupsafeパッケージに移動されました。

python
# Jinja2 3.1.0以前(非推奨)
from jinja2 import escape

# Jinja2 3.1.0以降(正しい方法)
from markupsafe import escape

解決方法

方法1: Flaskのバージョンを更新する(推奨)

最も一般的な原因は、古いバージョンのFlaskが新しいJinja2と互換性がないことです。Flask 2.x以降ではこの問題は修正されています。

txt
# requirements.txtの変更
Flask>=2.2.2

TIP

Flask 1.xはすでにサポートが終了しています。セキュリティとパフォーマンスのためにも、Flask 2.xへのアップグレードを強く推奨します。

方法2: インポート元を変更する

自分で書いたコードでescapeを使用している場合、インポート元を変更します。

python
# 変更前(非推奨)
from jinja2 import escape

# 変更後(推奨)
from markupsafe import escape

方法3: HTMLモジュールからインポートする

Python標準ライブラリのhtmlモジュールからもescape関数を使用できます。

python
from html import escape

方法4: Jinja2のバージョンをダウングレードする

一時的な解決策として、Jinja2を古いバージョンに固定する方法もあります。

txt
# requirements.txtに追加
jinja2<3.1.0

WARNING

この方法は一時的な対策としてのみ使用し、長期的には他の解決方法を採用することをお勧めします。古いバージョンを使用するとセキュリティリスクが生じる可能性があります。

特定のケースへの対応

Plotly Dashユーザーの場合

元の質問のようにDash関連のパッケージを使用している場合、以下のコマンドで関連パッケージを更新してみてください。

sh
pip install --upgrade dash flask jinja2 markupsafe

Jupyter Notebook/nbconvertユーザーの場合

Voilaやnbconvertを使用している場合、以下の手順で修正できます。

  1. ansi.pyファイルを開く(通常はsite-packages/nbconvert/filters/配下)
  2. インポートを変更する:
    python
    # 変更前
    import jinja2
    
    # 変更後
    from markupsafe import escape
  3. 使用箇所を変更する:
    python
    # 変更前
    text = jinja2.utils.escape(text)
    
    # 変更後
    text = escape(text)

根本的な解決

この問題の根本的な原因は、パッケージ間のバージョン互換性にあります。以下のベストプラクティスを実践することで、今後同様の問題を防ぐことができます。

  1. 定期的な依存関係の更新: 定期的にpip install -U package-nameでパッケージを更新する
  2. 互換性の確認: 主要パッケージの変更履歴を定期的に確認する
  3. 仮想環境の使用: プロジェクトごとに独立した環境を作成する
  4. バージョンの固定: requirements.txtで互換性が確認されたバージョンを明示する
txt
# 適切なrequirements.txtの例
Flask>=2.2.2
jinja2>=3.1.0
markupsafe>=2.1.1

まとめ

ImportError: cannot import name 'escape' from 'jinja2'エラーは、Jinja2のバージョン3.1.0での変更に起因する互換性問題です。推奨される解決策は、Flaskを最新バージョンにアップデートすること、またはmarkupsafeパッケージからescapeをインポートすることです。

プロダクション環境では、パッケージのバージョン互換性を常に意識し、定期的なメンテナンスを実施することが重要です。