?attr/colorSurface エラーの解決方法

問題の説明

Androidアプリ開発中、以下のようなビルドエラーが発生することがあります。

Can't determine type for tag '?attr/colorSurface'

エラーの特徴

• Material Designコンポーネント（特にBottom App Bar）使用時に発生
• XMLリソースファイルの解析中に発生
• アプリケーションのビルドが失敗し、実行不可能な状態に

この問題の主な原因はMaterial Designライブラリのバージョン不整合です。特にバージョン1.7.0で確認されており、Android Gradle Plugin（AGP）やビルド環境との互換性問題が原因で発生します。

根本原因

Material Components for Android 1.7.0では、マクロ（<macro>タグ）を使用した新しいリソース定義が導入されました。これには最新のビルドツールが必要ですが、以下のいずれかが古い場合にエラーが発生します。

必須コンポーネント	推奨バージョン
Android Gradle Plugin	≥7.2.0
Gradle本体	≥7.3.3
Android Studio	Chipmunk (2021.2.1)+

1.7.0の問題点

公式リリースノートで言及されている通り、互換性要件が変更されました

Material Components 1.7.0 リリースノート

"Update to Android Gradle Plugin version 7.2.0"

効果的な解決方法

解決策1: Material Designライブラリのバージョン降格（簡易対処）

即時の修正が必要な場合に有効な回避策です。

アプリモジュールの build.gradle を開き、依存関係を変更：

Kotlin DSL

dependencies {
    // implementation 'com.google.android.material:material:1.7.0' // 削除
    implementation 'com.google.android.material:material:1.6.0'   // 変更後
}

Groovy DSL

dependencies {
    // implementation 'com.google.android.material:material:1.7.0' // remove
    implementation 'com.google.android.material:material:1.6.0'   // 変更後
}

注意点

この方法は問題を一時的に回避しますが、最新機能は利用できません。恒久的な解決には根本原因の修正（解決策2）を推奨します。

解決策2: ビルド環境を完全更新（推奨方法）

長期的に安定した解決を行うための手順です。

ステップ1: Android Gradle Pluginの更新

プロジェクトルートの build.gradle を編集：

Kotlin DSL

// トップレベルの build.gradle.kts
plugins {
    id("com.android.application") version "7.4.2" apply false
    // またはライブラリの場合
    // id("com.android.library") version "7.4.2" apply false
}

dependencies {
    classpath("com.android.tools.build:gradle:7.4.2") 
}

Groovy DSL

// トップレベル build.gradle
buildscript {
    dependencies {
        classpath 'com.android.tools.build:gradle:7.4.2'
    }
}

ステップ2: Gradleラッパーの更新

gradle-wrapper.properties を編集：

distributionUrl=https\://services.gradle.org/distributions/gradle-7.5.1-bin.zip // [!code focus]

ステップ3: 依存ライブラリの更新

アプリモジュールの build.gradle を編集：

Kotlin DSL

dependencies {
    implementation("androidx.appcompat:appcompat:1.6.1") 
    implementation("com.google.android.material:material:1.9.0") 
}

Groovy DSL

dependencies {
    implementation 'androidx.appcompat:appcompat:1.6.1'
    implementation 'com.google.android.material:material:1.9.0'
}

ステップ4: SDKバージョンの更新

同じファイル内のコンパイル設定を更新：

android {
    compileSdkVersion 34
    
    defaultConfig {
        targetSdkVersion 34
        // ...
    }
}

補足：マニフェストファイルの修正

Android 12 (API 31) 以上をターゲットにする場合、必要に応じて AndroidManifest.xml に以下を追加：

<activity
    android:name=".MainActivity"
    android:exported="true"> <!-- エントリポイントアクティビティにはtrue -->
    ...
</activity>

更新後の確認事項

すべての変更を適用した後に行うべき操作：

1. Gradleの同期（Android Studio右上の「Elephantアイコン」をクリック）
2. Build > Clean Project の実行
3. Build > Rebuild Project の実行

INFO

更新後に問題が発生した場合：

1. File > Invalidate Cachesを実行
2. .gradle/cachesディレクトリを手動で削除

なぜこのエラーが発生するか（技術的背景）

Material Design 1.7.0で導入された macro リソースは、AGP 7.2.0以上の前処理機構を必要とします。古いビルドシステムはこの新しいリソースタイプを認識できないため、「型を決定できない」エラーが発生します。

推奨ソリューションパス:
ビルドツールを更新 > Material Designも最新版を使用

結論

?attr/colorSurface エラーの根本的解決には、Android開発環境全体の更新が最適な解決策です。特に以下のバージョンアップが効果的です：

1. Android Gradle Plugin ≥7.2.0
2. Gradle Wrapper ≥7.3.3
3. Material Design ≥1.7.0（AGP更新後）

一時的な回避策として1.6.0へのダウングレードも有効ですが、セキュリティ修正や新機能を利用するためにも、開発環境の更新を強く推奨します。