Kotlin JVMターゲットの非互換エラーの解決法

// 基本設定例 (appレベルのbuild.gradle.kts)
android {
    compileOptions {
        sourceCompatibility = JavaVersion.VERSION_17
        targetCompatibility = JavaVersion.VERSION_17
    }
    kotlinOptions {
        jvmTarget = "17"
    }
}

問題の概要

Android StudioでGradleの同期またはビルド時に以下のエラーが発生する場合：

Execution failed for task ':buildSrc:compileKotlin'.
Inconsistent JVM-target compatibility detected for tasks 'compileJava' (21) and 'compileKotlin' (1.8).

このエラーは、プロジェクト内でJavaコンパイルタスクとKotlinコンパイルタスクのJVMターゲットバージョンが不一致であることを示しています。具体的には：

• compileJavaタスクがJVM 21をターゲット
• compileKotlinタスクがJVM 1.8をターゲット

マルチモジュールプロジェクトでは、メインモジュールとbuildSrcモジュール間で設定が競合する場合が頻発します。

根本的な原因

JavaとKotlinコンパイラのターゲット設定不一致が主原因です：

1. JDKアップデートでデフォルト設定が変更されたが、Kotlin設定が追従していない
2. モジュール/サブプロジェクト毎に異なるバージョン指定が存在
3. KotlinプラグインとJavaバージョンの互換性の問題

注意: JDK 17以降では、1.8のような旧形式の指定は非推奨です。数値のみ（例: 17）を使用してください。

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効果的な解決方法

方法1: アプリケーションレベルの設定統一（推奨）

app/build.gradle.ktsにJava/Kotlinの互換設定を追加：

android {
    compileOptions {
        sourceCompatibility = JavaVersion.VERSION_17
        targetCompatibility = JavaVersion.VERSION_17
    }
    kotlinOptions {
        jvmTarget = "17" // "11", "21" 等プロジェクトに適したバージョン
    }
}

方法2: buildSrcモジュールの設定修正

buildSrc/build.gradle.ktsがある場合、専用の設定が必要：

plugins {
    `kotlin-dsl`
}
kotlin {
    jvmToolchain(21) // メインプロジェクトと一貫したバージョン
}

方法3: Gradle JDK設定の変更

Android Studioの設定からプロジェクト全体のJDKバージョンを統一：

1. File > Settings (Ctrl+Alt+S)
2. Build, Execution, Deployment > Build Tools > Gradle
3. Gradle JDKで適切なバージョンを選択

方法4: KotlinバージョンとJDKの互換性確保

KotlinとJDKの互換性問題が原因の場合は：

1. プロジェクトレベルのbuild.gradle.ktsを開く
2. Kotlinバージョンを最新に更新（例：1.9.24）

   plugins {
       kotlin("jvm") version "1.9.24" // {x} 部分を最新バージョンに
   }

方法5: マルチモジュール環境での個別設定

特定モジュールのみに問題がある場合：

1. エラーログで問題モジュールを特定（例：:expo-modules-core$android-annotation）
2. 該当モジュールのbuild.gradle.ktsを開く
3. 個別にjvmTargetを設定：

   kotlin {
       compilerOptions {
           jvmTarget.set(org.jetbrains.kotlin.gradle.dsl.JvmTarget.JVM_17)
       }
   }

ビルドキャッシュの問題

.gradleと.ideaディレクトリを削除後、File > Sync Project with Gradle Filesを実行すると問題解決する場合があります：

rm -rf .gradle
rm -rf .idea

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ベストプラクティスとバージョン選択ガイド

JDKバージョン選定基準

プロジェクトタイプ	推奨バージョン	補足
新規プロジェクト	JDK 21	LTS版で長期サポート対象
既存Androidプロジェクト	JDK 17	Android互換性バランス最適
レガシーシステム	JDK 11	旧環境対応が必要な場合のみ

Kotlinコンパイラオプションの新記法

Kotlin 1.5以降ではjvmToolchain利用が簡潔：

// 従来記法（廃止予定）
kotlinOptions { jvmTarget = "11" }

// 現代的な記法（推奨）
kotlin { jvmToolchain(11) }

バージョン確認コマンド

ターミナルで以下を実行し、全モジュールの設定を一括確認：

./gradlew -q properties | grep jvmTarget

出力例：

jvmTarget: 17
:buildSrc jvmTarget: 11

不一致があるモジュールが特定可能

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結論

「JVM-target compatibility detected」エラーは、全モジュールでのJVMターゲット設定の一貫性確保で確実に解決できます。特に：

1. 主要設定箇所3つを確認:

   • アプリケーションレベル(app/build.gradle.kts)
   • プロジェクトレベル(build.gradle.kts)
   • buildSrcモジュール(buildSrc/build.gradle.kts)

2. 最新ツールチェーンの採用:

   • JDK 17/21 + Kotlin 1.9+の組み合わせ
   • jvmToolchain()の積極利用

3. マルチモジュール環境での集中管理:

   • バージョン変数を共通化（例: extra["jvmVersion"] = 17）
   • サブプロジェクト設定の継承を活用

Kotlin/Java混在プロジェクトでは、定期的なjvmTarget設定の監査を推奨します。