Xcode 15起動問題(macOS Sequoia対応)
問題の概要
macOSを最新のSequoiaバージョンにアップデートした後、事前にインストールされていたXcode 15が起動しなくなる現象が発生します。Apple公式の互換性リストではXcode 15はmacOS Sequoiaを正式にサポートしていないため、この問題が広く報告されています。具体的な症状として:
- Xcodeアイコンをクリックしても反応がない
- エラーメッセージなしにプロセスが終了する
- クラッシュレポートが生成される
この問題はApp Store経由以外でインストールしたXcode(直接ダウンロード版など)で特に発生しやすく、開発ワークフローに深刻な影響を与えます。
推奨解決策(直接実行方法)
最も安全で効果的な根本解決策は、Xcodeをパッケージコンテンツから直接実行する方法です。
- Finderで「アプリケーション」フォルダを開き、Xcodeアプリを右クリック
- 「パッケージの中身を表示」を選択
- 表示された
Contents
フォルダ内のMacOS
フォルダを開く Xcode
(Unix実行ファイルアイコン)をダブルクリック
仕組み
この操作によりXcodeがターミナル経由で起動します。システム保護機能(Gatekeeper)を迂回しつつ、必須コンポーネントを初期化するスクリプトが自動実行されます。
動作確認後の追加設定
Xcodeが正常起動したら、開発環境を完全に復旧させるため以下を実施してください:
# Xcodeのデフォルトパスを設定
sudo xcode-select -s /Applications/Xcode.app
# ライセンス同意を完了
sudo xcodebuild -license accept
注意
複数のXcodeバージョンがインストールされている場合は、使用中のバージョンを正確に指定してください:
xcode-select --print-path # 現在のパス確認
sudo xcode-select -s /Applications/Xcode-15.4.app # 例
代替解決策(Info.plist編集)
直接実行が不安定な場合、互換性フラグの変更で対応可能です。ファイル編集前に必ずバックアップを作成してください。
方法1:CFBundleVersion変更(非推奨)
# Xcode 15のInfo.plistを編集
defaults write /Applications/Xcode-15.4.0.app/Contents/Info.plist CFBundleVersion -string "23051"
方法2:Info.plist全体の交換(上級者向け)
- Xcode 16の
Info.plist
を一時的にコピー - Xcode 15の
Contents/Info.plist
と交換 - Xcodeを起動して終了
- 元のInfo.plistを復元
警告
- plist編集は予期不具合を引き起こす可能性があります
- App Storeインストール版ではセキュリティエラーが発生する場合あり
- 最終手段としてのみ使用し、問題発生時はApple純正対応待ちを推奨
補足:開発環境設定
Xcode起動後、プロジェクトビルドを確実にするために以下を確認:
- [Xcode] → [設定] → [Locations]
- 「Command Line Tools」で正しいXcode 15バージョンを選択
- ツールチェーンをフラッシュ:
# ビルドキャッシュクリア
rm -rf ~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/*
# パッケージリセット
xcodebuild -quiet -alltargets clean
クロスプラットフォーム開発(Flutter/React Native等)では、該当SDKの再リンクが必要:
# Flutterの場合
flutter doctor --android-licenses
flutter clean
根本原因と予防策
この問題は、macOS Sequoiaの新しい実行可能ファイルプロテクションとXcode 15の証明書検証機構の競合が主原因です。将来のOSアップデート時に同様の問題を防ぐには:
- ベータOSリリース前に
xcode-select
パスを確認 - App Store版Xcodeを使用(互換性検証が優先される)
- メジャーOSアップデート時はXcodeも最新安定版へ移行
Appleは公式にXcode 16以降でのみSequoiaフルサポートを表明しています。長期プロジェクトでは早期のXcode 16移行を推奨します。