macOS M1チップでのAndroid Emulator設定
Apple Silicon M1チップ搭載のMacでAndroid Studioとエミュレーターを適切に設定する方法について解説します。
問題点
M1 MacでAndroid Studioを実行すると、以下の問題が発生する可能性があります:
- CPU does not support VT-x エラーが表示される
- エミュレーターの動作が非常に遅い
- ARMイメージでも正しく動作しない
WARNING
初期のM1サポートでは、Intel版のAndroid StudioをRosetta経由で実行する必要があり、パフォーマンスと互換性に問題がありました。
解決策
方法1:正しいバージョンのAndroid Studioをインストール
M1 Macでは、ARM64ネイティブ版のAndroid Studioをダウンロードする必要があります。
- Android Studioダウンロードページにアクセス
- Apple Silicon用のバージョンを選択してダウンロード
- インストール後に実行してセットアップを完了
TIP
現在の安定版であるAndroid Studio Arctic Fox (2020.3.1)以降であれば、M1ネイティブサポートが含まれています。
方法2:エミュレーターの再インストール
既存のAndroid Studioがある場合、エミュレーターを再インストールすることで修正できます:
- Android Studioを開く
- Tools → SDK Manager → SDK Toolsタブへ移動
- 'Android Emulator'のチェックを外す → Apply
- アプリを実行またはAVDマネージャーからデバイスを起動
- 表示される「Install Emulator」エラーでOKをクリック
- 正しいバージョンが自動的にダウンロードされる
方法3:ARM互換システムイメージの選択
エミュレーターを作成する際は、ARM64-v8aイメージを選択する必要があります:
- Tools → AVD Manager → Create Virtual Device
- Google Playストアアイコンがあるデバイスを選択
- Other Imagesタブでarm64-v8aイメージを選択
- 設定を完了してエミュレーターを作成
# エミュレーターリスト確認
emulator -list-avds
# ARMエミュレーター起動
emulator -avd YOUR_ARM_AVD_NAME -netdelay none -netspeed full
方法4:完全な再インストール(上記で解決しない場合)
他の方法で問題が解決しない場合は、完全な再インストールを実行します:
# Android Studioの完全削除
rm -Rf /Applications/Android\ Studio.app
rm -Rf ~/Library/Preferences/AndroidStudio*
rm -Rf ~/Library/Preferences/com.google.android.*
rm -Rf ~/Library/Preferences/com.android.*
rm -Rf ~/Library/Application\ Support/AndroidStudio*
rm -Rf ~/Library/Logs/AndroidStudio*
rm -Rf ~/Library/Caches/AndroidStudio*
rm -Rf ~/.AndroidStudio*
rm -Rf ~/.gradle
rm -Rf ~/.android
rm -Rf ~/Library/Android*
rm -Rf /usr/local/var/lib/android-sdk/
その後、改めてM1ネイティブ版のAndroid Studioをダウンロードしてインストールします。
トラブルシューティング
HAXM関連の問題
Intel Macから移行した場合、HAXM(Intel Hardware Accelerated Execution Manager)が残っている可能性があります:
# HAXMのアンインストール
sudo /Library/Extensions/intelhaxm.kext/Contents/Resources/uninstall.sh
adbコマンドが見つからない場合
# adbへのパスを通す
echo 'export ANDROID_HOME=/Users/$USER/Library/Android/sdk' >> ~/.zshrc
echo 'export PATH=${PATH}:$ANDROID_HOME/emulator:$ANDROID_HOME/tools:$ANDROID_HOME/tools/bin:$ANDROID_HOME/platform-tools' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
Rosettaのインストール
一部のツールではまだRosettaが必要な場合があります:
# Rosettaのインストール
softwareupdate --install-rosetta
パフォーマンス最適化
M1 MacでAndroidエミュレーターを最高のパフォーマンスで実行するための tips:
- API 30以上のシステムイメージを使用
- Google Playストア対応のデバイス定義を選択
- エミュレーターのRAM設定を適切に調整(8GB以上推奨)
- マルチコアCPU設定を有効化
INFO
M1 MacではARMネイティブのエミュレーターは非常に高速に動作し、Intel Macよりも優れたパフォーマンスを発揮します。
参考リソース
正しく設定されれば、M1 MacではAndroidエミュレーターがネイティブパフォーマンスで動作し、開発体験が大幅に向上します。