CUDAでの device-side assert triggered エラーの解決方法
問題の概要
PyTorchを使用してGoogle Colab上でGPUを使用する際、以下のようなエラーが発生することがあります:
device = torch.device('cuda' if torch.cuda.is_available() else 'cpu')
t = torch.tensor([1,2], device=device)
RuntimeError: CUDA error: device-side assert triggered
CUDA kernel errors might be asynchronously reported at some other API call,so the stacktrace below might be incorrect.
For debugging consider passing CUDA_LAUNCH_BLOCKING=1
このエラーはデバイス側(GPU)でアサーションエラーが発生したことを示していますが、具体的な原因はエラーメッセージからは判断しづらい特徴があります。
エラーの原因
このエラーの主な原因は以下のような状況で発生します:
よくある原因
- ラベルインデックスの不一致(例:10クラス分類モデルに15クラスのデータを入力)
- 語彙サイズと埋め込み層の次元不一致
- 不正な値のテンソル操作
- メモリ関連の問題
- 既存のセッションとの競合
デバッグ方法
方法1: CPUで実行して詳細なエラーメッセージを取得
最も効果的なデバッグ方法は、一時的にCPUで実行して詳細なエラーメッセージを確認することです:
device = torch.device('cpu') # 一時的にCPUを使用
t = torch.tensor([1,2], device=device)
# その他の問題があるコードを実行
# より詳細なエラーメッセージを得る場合
import os
os.environ['CUDA_LAUNCH_BLOCKING'] = '1'
方法2: ランタイムの再起動
一度このエラーが発生すると、以降のすべてのCUDA操作で同じエラーが発生する可能性があります。この場合、ランタイムを完全に再起動することで解決することがあります:
TIP
Google Colabの場合:「ランタイム」→「ランタイムを再起動」を選択
方法3: メモリのクリーンアップ
Jupyter環境では、メモリに残っている状態が影響している可能性があります:
# NVIDIAプロセスの確認と削除(Colabでは不要な場合が多い)
!nvidia-smi # 実行中のプロセス確認
# 必要に応じて特定のプロセスをkill
具体的な解決ケース
ケース1: ラベルインデックスの不一致
モデルの出力次元とデータセットのラベル数が一致しない場合:
# 誤った例:10クラス分類モデルに15クラスのデータを入力
model = nn.Linear(100, 10) # 10出力ノード
labels = torch.tensor([0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14]) # 15クラス
# 正しい例:ラベルを0始まりの連番に変換
unique_labels = sorted(set(labels))
label_mapping = {label: idx for idx, label in enumerate(unique_labels)}
mapped_labels = torch.tensor([label_mapping[label] for label in labels])
ケース2: 語彙サイズと埋め込み層の不一致
トークナイザーの語彙サイズとモデルの埋め込み層の次元が異なる場合:
from transformers import AutoModel, AutoTokenizer
tokenizer = AutoTokenizer.from_pretrained("bert-base-uncased")
model = AutoModel.from_pretrained("bert-base-uncased")
# 新しいトークンを追加した場合
tokenizer.add_special_tokens({'pad_token': '<pad>'})
# 埋め込み層のサイズを調整(必須)
model.resize_token_embeddings(len(tokenizer))
ケース3: 不正な値の操作
損失計算で無視する位置の指定に問題がある場合:
# 問題のあるコード例
labels[:, -1] = -100 # 場合によってはエラーを引き起こす
# 安全な処理方法
ignored_index = -100
if torch.any(labels == ignored_index):
# 適切な処理を行う
pass
予防策
- データの前処理を確認:ラベルが0から始まる連番であることを確認
- モデル構造の整合性:入力次元、出力次元がデータと一致しているか確認
- メモリ管理:大規模なモデルではメモリ使用量を監視
- セッション管理:不要なセッションが残っていないか定期的に確認
まとめ
CUDAのdevice-side assert triggeredエラーは根本的な原因が多岐にわたりますが、CPUでの実行による詳細エラーの確認やラベル・次元の整合性チェックなど、系統的なデバッグで大部分の問題を解決できます。Colab環境ではランタイムの再起動も有効な手段となります。