Skip to content

CUDAメモリ不足エラーとmax_split_size_mb設定

主要な注意点

このエラーはGPUメモリの断片化によって発生することがあります。max_split_size_mb設定は最終手段として使用し、まずはバッチサイズ削減などの基本的な対策を試してください。

問題の説明

PyTorchを使用中に以下のエラーが発生する場合、GPUメモリの断片化が原因である可能性があります:

RuntimeError: CUDA out of memory. Tried to allocate 8.00 GiB (GPU 0;
15.90 GiB total capacity; 12.04 GiB already allocated; 2.72 GiB free; 
12.27 GiB reserved in total by PyTorch) 
If reserved memory is >> allocated memory try setting max_split_size_mb 
to avoid fragmentation.

エラーの根本原因

  • CUDAメモリの断片化により、十分な空きメモリがあるにもかかわらず連続したメモリブロックを確保できていない
  • PyTorchのメモリアロケータが小さいメモリブロックに分割しすぎて、大きなメモリ要求を満たせない
  • 特に以下の条件下で発生しやすい
    • 長時間のトレーニングセッション
    • 可変サイズの入力データを使用する場合
    • マルチGPU環境

解決策:max_split_size_mbの設定方法

PyTorchがメモリブロックを分割する最大サイズを制限することで、メモリの断片化を軽減できます。

方法1: 環境変数による設定(推奨)

bash
export PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF=max_split_size_mb:512
batch
set PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF=max_split_size_mb:512

方法2: Pythonスクリプト内での設定

python
import os
os.environ["PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF"] = "max_split_size_mb:512"

# 続いてPyTorch関連のインポート
import torch

値の選び方(重要)

  • 最適値の見つけ方
    1. エラーメッセージのTried to allocate X GiB値より大きい値を設定
    2. 初期値は512が安全(デフォルトは無制限)
    3. 512で不十分な場合、段階的に増加(1024,2048...)
    4. パフォーマンス低下が激しい場合は値を下げる

警告

高すぎる値を設定すると逆効果となる可能性があります。

  • ✖ パフォーマンスが劇的に悪化する場合あり
  • ✖ メモリ使用効率が低下する可能性あり
  • ℹ 適切な値を見つけるには実験が必要

補足的な解決策

キャッシュのクリア(一時的な対策)

トレーニングループ中に定期的にキャッシュをクリア:

python
def training_loop():
    for data in dataloader:
        # ...トレーニングステップ...
        torch.cuda.empty_cache()  # 使用後のキャッシュクリア

マルチGPU環境での注意点

torch.distributed.launchを使用する場合、各プロセスでGPUデバイスを明示的に設定:

マルチGPU設定の詳細
python
import argparse
import torch

# 引数パーサーの設定
parser = argparse.ArgumentParser()
parser.add_argument('--local_rank', type=int, default=0)
args = parser.parse_args()

# GPUデバイスの設定(重要!)
torch.cuda.set_device(args.local_rank)

# 分散トレーニングの初期化
torch.distributed.init_process_group(backend='nccl')

よくある質問

Q. 値のチューニング方法は?

A. PyTorchのメモリ診断ツールを使用:

python
print(torch.cuda.memory_summary())
print(torch.cuda.memory_stats())

inactive split blocksの量が多い場合は、max_split_size_mbの調整が有効です。

Q. Colabで動作しますか?

A. はい。 以下の方法で設定可能:

python
!export PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF=max_split_size_mb:512  # Colabセルの先頭で実行

Q. 設定しても解決しない場合は?

A. 以下の追加対策を検討:

  • バッチサイズのさらなる削減
  • モデル規模の縮小
  • 混合精度トレーニングの導入(torch.cuda.amp
  • グラデーション蓄積の活用

ベストプラクティス

  1. 常に最新のPyTorchバージョンを使用
  2. Nvidiaドライバを定期的に更新
  3. 大きなメモリ割り当てが必要な処理を分割
  4. with torch.no_grad():で推論時のメモリ使用を削減
  5. データローダーのpin_memoryを適切に設定

最終確認ポイント

max_split_size_mb設定はパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、設定後は次の項目を監視してください:

  • トレーニングの速度変化
  • メモリ使用率の推移
  • エラーの発生頻度

これらの対策を実装することで、CUDAメモリ断片化エラーの解決と、より安定したディープラーニングトレーニング環境の構築が可能になります。