GitHub Actionsで「Waiting for a runner to pick up this job」エラーの解決方法
問題の概要
GitHub Actionsを使用している際に、「Waiting for a runner to pick up this job」というメッセージが長時間表示され、ワークフロージョブが開始されない問題に直面することがあります。このエラーは、GitHub Actionsがワークフローを実行するための実行環境(ランナー)を適切に見つけられない場合に発生します。
ランナーとは?
GitHub Actionsにおける「ランナー」とは、ワークフロー内のジョブを実行するマシンまたは環境のことです。ランナーはリポジトリをクローンし、必要なソフトウェアをインストールし、コードを評価するコマンドを実行します。
ランナーの種類
主に2種類のランナーがあります:
- GitHubホステッドランナー: GitHubが管理する事前構成済み環境
- セルフホステッドランナー: ユーザー自身が管理するカスタム環境
それぞれの特徴については後述の詳細セクションで説明します。
主な原因と解決策
1. 非サポートOSの指定 (最も一般的)
古いまたはサポート終了したOSを指定している場合、ランナーが見つからずに待機状態になります。
# 非推奨・2025年4月以降サポート終了
runs-on: ubuntu-20.04
# 推奨・最新のサポートOSを使用
runs-on: ubuntu-latest
重要
GitHubは定期的にOSイメージのサポートを終了します。現在サポートされているOSについてはGitHub公式ドキュメントを確認してください。
2. タイポや構文エラー
runs-on
の値にスペルミスがあると、GitHubはその名前のランナーが存在すると仮定し、永遠に待機します。
# 誤った例 (タイポ)
runs-on: ubuntu-latast # "latest"の誤り
runs-on: self-hosted # セルフホステッド環境がない場合
# 正しい例
runs-on: ubuntu-latest
YAML構文の注意点
- インデントはスペース2つまたは4つで統一(混在不可)
- コロンの後にスペースが必要
- 環境名は正確に記述
3. ランナーの可用性問題
一時的なGitHub側の問題や、ランナーのリソース不足が原因の場合があります。
解決方法:
- ジョブをキャンセルして再実行する
- GitHub Statusで障害状況を確認する
- 数分待ってから再試行する
4. セルフホステッドランナーの設定問題
セルフホステッドランナーを使用している場合:
# ランナーを再起動
./svc.sh stop
./svc.sh start
確認事項:
- ランナーが正しく登録されているか
- リポジトリへのアクセス権限があるか
- ネットワーク接続が正常か
5. 環境設定と権限問題
environment
設定や権限の問題で一時停止する場合があります。
jobs:
deploy:
runs-on: ubuntu-latest
environment: production # この設定が問題を引き起こす可能性あり
steps:
- ...
セルフホステッド vs GitHubホステッドランナー
GitHubホステッドランナー
- ✅ GitHubが完全管理
- ✅ 設定が不要
- ✅ 定期的に更新されるプリインストールソフトウェア
- ❌ ローカルリソースに直接アクセス不可
- ❌ カスタムソフトウェアの制限
セルフホステッドランムナー
- ✅ ローカルリソースへのアクセス可能
- ✅ カスタムソフトウェアと設定
- ✅ 環境の完全な制御
- ❌ セットアップとメンテナンスが必要
- ❌ セキュリティリスクの可能性
トラブルシューティングチェックリスト
- OSの指定を確認 -
ubuntu-latest
などのサポートされているOSを使用 - スペルチェック -
runs-on
の値にタイポがないか確認 - GitHub Status確認 - プラットフォーム全体の問題がないか確認
- 再実行 - ジョブをキャンセルして再実行
- ランナー登録確認 - セルフホステッドの場合、正しく登録されているか確認
- 権限確認 - リポジトリへの適切なアクセス権限があるか確認
- YAML構文確認 - インデントや構文エラーがないか確認
プロアクティブな対策
- 定期的にワークフローファイルを更新し、サポート終了予定のOSを使用していないか確認
- 重要なワークフローの場合は、セルフホステッドランナーのバックアップを検討
- モニタリングを設定し、長時間待機中のジョブを自動検出
まとめ
「Waiting for a runner to pick up this job」エラーは主に、非サポートOSの指定、タイポ、一時的なプラットフォーム問題、または設定誤りによって発生します。基本的なチェックから始め、系統的なトラブルシューティングを行うことで、ほとんどの場合の問題を解決できます。
最新のサポート情報とベストプラクティスについては、常にGitHub公式ドキュメントを参照することをお勧めします。